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住宅産業トピックス 2023.06.06

築100年東京・佃島の魚問屋を再生へ 芝浦工大がCF実施

芝浦工業大学(東京都港区)は、このほど建築学科・志村秀明教授と学生チームによる「旧飯田家住宅保存活動プロジェクト」を発足。1920年頃に建築された東京都中央区佃一丁目にある築100年の佃島・魚問屋「旧飯田家住宅」の保存・活用に向けたクラウドファンディングを開始した。目標金額は300万円で、6月24日まで実施する。

「佃喜八」「たじま」という屋号を持つ「旧飯田家住宅」は、日本橋魚市場の魚問屋の併用住宅として建築され、江戸時代の初めに佃島の町割・屋敷地割が定められた当初の形状を保っている。広い土間には、いけすと井戸が配され、約400年前からの江戸漁師町らしい高密度居住の中で、住まい方の工夫が随所に見られる歴史的・文化的価値のある建物だ。しかし、2022年2月に空き家となり、取り壊しを危惧する地元有志と学識経験者が「佃島旧飯田家住宅活用委員会」を結成。芝浦工業大学の学生たちと協力し、旧飯田家住宅の保存・活用への取り組みを開始した。

佃島住吉神社の例大祭で祭礼拠点として利用されるなど昔から地域コミュニティの中心として活用されてきた「旧飯田家住宅」に今後もその役割を担ってもらうため、1階には「佃島ゆかり」の店舗やレンタルスペース・シェアオフィスを設けることで、近隣の住民の日常的な利用や佃島のまちなみ視察の拠点とし、2階には大学生等が居住する「シェアハウス」とすることで、新たな地域コミュニティの中心としての役割を果たす用途混合型シェアスペースとしての活用を目指す。

「旧飯田家住宅保存活動プロジェクト」は、築100年を超える歴史的・文化的価値のある建築物の保存活動と新たな地域コミュニティを形成する用途混合型シェアスペースとしての活用という2つの大きな可能性を持つ新たな地域再生のモデルケースになりうると注目されている。

 

出典 新建ハウジング