桝徳の情報誌「STAFF」

抗ウイルス建材に注目!

発行日:2021.05.01

抗ウイルス建材に注目!

衛生・安全に意識が高まっている今、建材自ら抗菌・抗ウイルス機能を発揮する製品の開発が進み、
注目が集まっています。
一般住宅をはじめ、医療・介護施設や公共施設、お店やオフィスなど、
今後様々なシーンで活躍すると言えるでしょう。

新型コロナウイルスが流行してから、床、壁、窓ガラス、照明、手すり、化粧板など、
実に様々な抗菌・抗ウイルス機能を発揮する建材が開発・発売されています。
今号では、住まいの中でも面積が広く、直接手足で触れる機会の多いフローリングと、日本で古くから使用されてきた伝統的な素材である漆喰の抗ウイルス機能について焦点を当てるとともに、オススメ商品をご紹介いたします。

コロナ禍でニーズが高まる商品

抗ウイルス建材に注目

1.建材業界においても光触媒や漆喰などに注目した
抗ウイルス機能の開発が進んでいます。

 新型コロナウイルス感染症の大流行により、私たちの生活や仕事は一変しました。

 今後も感染症との共存が求められる中で、抗ウイルスへの関心は高まり、建材業界においても抗ウイルス機能の開発が更に進むと考えます。

2.光触媒による抗ウイルス作用とは

 光触媒とは、太陽や蛍光灯などの光を照射されることで触媒作用を示す物質のことです。中でも酸化チタンは代表的な材料で、最も優れた触媒作用を発揮すると言われています。

 酸化チタンに光が当たると、光エネルギーによって表面に強力な活性酸素が発生し、「エンベロープ」と呼ばれる外膜などを強力に分解することで、ウイルスが細胞内に入り込むことや、入っても力を発揮できないよう不活化します。

光触媒による抗ウイルスの仕組み

  • 光触媒による抗ウイルスの仕組み
    出典:建材マンスリー2020年6月号
  • 抗ウイルス作用の特徴は、分解の対象を選ばないため、ウイルスの種類に関わらず効果を発揮できること。ウイルスが光触媒の表面に接触した場合のみ作用するため、空気中に漂うウイルスへの効果はあまり期待できないと言われている。

3.漆喰による抗ウイルス作用とは

 消石灰を主原料とする日本の漆喰は、咳やくしゃみの飛沫が表面に付着すると、飛沫の水分によって消石灰が溶け、漆喰の表面は強アルカリ性になり、ウイルスのたんぱく質などが変性され増殖機能を失うことから、高い抗ウイルス作用があると言えます。

漆喰によるウイルス不活化の仕組み

  • 漆喰によるウイルス不活化の仕組み
    出典:西日本新聞me
  • 長崎大学と関西ペイントは、漆喰の塗料が新型コロナウイルスの感染防止に効果があることを共同研究で確認したと発表。漆喰はアルカリ性が強いことから、ウイルスを含む細胞が5分間接触すると感染力が99.9%以上減少する。

4.桝徳が選ぶ!
抗ウイルス建材のご紹介

◎ 光触媒商品
征矢野建材(株)
TSVコート塗装フローリング
TSVコート塗装フローリング

出典:征矢野建材(株)資料

 フローリングは住宅の中でも面積が広く、人が直接手で触れる機会の多い場所。
 征矢野建材(株)のTSVコート塗装フローリングは、表面の塗装に光触媒作用による抗ウイルス機能を付加し、フローリング表面に付着したウイルスを分解・不活性化し、感染性を抑える効果があります。
 また、フローリングの素材には、産学官連帯事業により誕生した長野県産ブランド「あづみの松」および「あづみの桧」を使用。長野県の林業活性化および森林資源の有効活用にも貢献しています。

  • ウイルス感染能力の推移
    出典:征矢野建材(株)資料
  •  ガラス表面と光触媒作用による抗ウイルス機能を付加したフローリングで比較試験を行った結果、10万分の1から1万分の1に低減されることがわかりました。
     一般的な光触媒は、紫外線のみに反応しますが、TSVコート塗装フローリングに使用している光触媒は、可視光応答型の為、蛍光灯やLED照明のある屋内でも十分効果を発揮します。

◎ 漆喰商品
田川産業(株)
内外装仕上材 漆喰
内外装仕上材 漆喰

出典:田川産業(株) DIY NURI2

  •  田川産業(株)は百年続く、漆喰珪藻土メーカー。
     田川産業が独自に行った自社製造しっくいの抗菌試験において、実験開始から1時間後に約91%、2時間後には97.5%のウイルスが減少することが、実証済みです。
     なお、この試験では新型コロナウイルスと同系統のウイルスを使用しているとの事で、現代に「抗ウイルス建材」という一筋の明るい光が差し込んできたように思えます。

  • ISO21702に準拠したウイルス不活化活動
    出典:Shikkui Labs / 田川産業(株)

【コラム】
抗菌と抗ウイルスの違い

「抗菌」と「抗ウイルス」は、どちらも同じようで、実は全く異なります。

抗   菌:菌をごくわずかしか増やさないこと。ウイルスへの対策とは完全に分けて考える必要がある。

抗ウイルス:ウイルスの外部組織を破壊すること。生物の細胞に侵入して増殖する機能を失わせ、活動停止状態にする。

細菌 ウイルス
細胞 細胞を持つ単細胞生物 細胞のない粒子
DNAとRNA
(核酸)(※2)
両方持つ どちらか片方を持つ
自己増殖 できる できない
(人や動物等の細胞に侵入し増殖)
大きさ 1〜10μm(※1) 0.02〜0.2μm
制震ダンパー性能比較

出典:建材マンスリー2020年6月号

※1 ㎛(マイクロメートル):1000分の1ミリ
※2 核酸:生物の増殖を始めとする生命活動の維持に重要な働きをする高分子物質

正しい知識で、お客様に商品を勧めてくださいね。
抗ウイルス建材についてご不明点等ございましたら、桝徳までお問い合わせください。

今号の担当スタッフ

大林 勲

大林 勲

新型コロナウイルス感染症が流行してから、withコロナ時代に見合った抗菌・抗ウイルス機能を持つ製品を建材メーカー各社が開発しています。そんな情報もどんどん桝徳に入ってきていますので、気になる商品やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。