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「人がいない」はどこが原因か? 採用・育成・定着に分解して考える

発行日:2026.06.05

「人がいない」はどこが原因か? 採用・育成・定着に分解して考える

「募集しても人が来ない」「育てても続かない」「現場の負担が減らない」――。こうした悩みを抱えている工務店様は多く、実際にお悩みの声をお聞きすることもあります。

そこで、「人材不足」をテーマに、Vol.215・Vol.219の2号連続特集を企画しました。今号では、人材不足の原因を「採用・育成・定着」の3つに分解し、どこに原因があるのかを整理しました。

「もしかして、うちも同じかもしれない」――そんな視点でご覧ください。

Vol.215・Vol.219で連載!どうする人材不足!

「人がいない」はどこが原因か? 採用・育成・定着に分解して考える

人材の採用・育成・定着フロー

働き手不足は社会的な課題ですが、特に住宅業界では深刻です。企業によっては必要な人材を確保できず、技術の継承が難しくなったり、倒産につながったりするケースも見られます。なぜ、そのような事態が起こっているのでしょうか。

本記事では、人材の採用・育成・定着というフローの視点から考え、人材不足を取り巻く環境をわかりやすくお伝えします。

※厚生労働省・国土交通省・リクルートワークス研究所等の資料をもとに編集部作成

「人材の採用・育成・定着フロー」を図解し、過程の中にある課題を示す図。上部に「人材の採用・育成・定着フロー」と記載し、「採用」「育成」「定着」の3段階を矢印でつないでいる。採用では机に向かう人物のイラストとともに、チェックボックス形式で「人材採用の課題 □ どこで募集すればいいかわからない □ 募集しても人が集まらない」と記載。育成では作業を教える人物のイラストとともに、チェックボックス形式で「育成の課題 □ すぐに辞めてしまう □ 若手が育たない □ 育成が難しい」と記載。定着ではチェックを行う人物のイラストとともに、チェックボックス形式で「人材が安定して働くための定着チェック □ 働く環境の満足度 □ 人間関係の満足度 □ 事業方針への納得度」と記載し、人材育成から定着までの流れの中でどんな課題があるかを確認できる図となっている。

人材採用の課題

  • どこで募集すればいいかわからない
  • 募集しても人が集まらない

育成の課題

  • すぐに辞めてしまう
  • 若手が育たない
  • 育成が難しい

人材が安定して働くための定着チェック

  • 働く環境の満足度
  • 人間関係の満足度
  • 事業方針への納得度

STEP1. 採用

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どうやって人を募集する?

令和4年度の建設業への入職者は約22万人と、20年前と比べて、約60%も減少しています。

また、2026年3月卒の大学生・大学院生における建設業での有効求人倍率は8.55倍で、全産業と比べると約5倍も高い有効求人倍率となっています。

「建設業への入職者数」と「有効求人倍率」の推移を示した図解。上段では「建設業への入職者数」として、平成14年から令和4年度にかけて入職者数が減少し、「約60%減」、令和4年度は「22万人」と記載。下段では「有効求人倍率」を比較し、全産業の「1.66倍」に対して建設業は「8.55倍」で、「5倍」と強調表示されている。建設業では入職者数の減少と人材不足が進み、求人倍率が全産業平均を大きく上回っている状況を示している。

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2〜4人規模の事務所では先輩・知人とのつながりも重要

厚生労働省の建設業における調査によると、「現在の会社に就職する際に重視したこと」について、若年層では1位が「仕事内容(44.3%)」、次いで「賃金の額(25.7%)」となっています。一方、事業所規模で見ると、2~4人規模ではその順位に変化が見られます。

現在の会社に就職する際に重視したこと

「現在の会社に就職する際に重視したこと」を、【若年層】と【従業員数2~4人規模】で比較した表のうち【若年層】を示した図。1位「仕事の内容(44.3%)」、2位「賃金の額(25.7%)」、3位「安定した賃金の支払い(19.6%)」、4位「地元の企業であること(15.0%)」、5位「先輩・知人とのつながり(13.2%)」となっている。
「現在の会社に就職する際に重視したこと」を、【若年層】と【従業員数2~4人規模】で比較した表のうち【従業員数2~4人規模】を示した図。1位「仕事の内容(41.8%)」、2位「賃金の額(18.8%)」、3位「先輩・知人とのつながり(16.5%)」、4位「特になし(15.0%)」、5位「地元の企業であること(14.4%)」となっており、就職先選びで重視する項目の違いを示している。

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売り手市場こそミスマッチを防ぐ採用を

売り手市場では、「内定をくれる企業」ではなく、「納得できる企業」を選ぶ余裕が求職者に生まれます。その結果、条件のミスマッチを防ぐなど、ポジティブな側面も見られます。

重視したことが、「特になし」という人材も一定数いるもの。そんな人材はどのような理由で定着するでしょうか?

実は、縁故入社が3割!

建設業界では、入職者の3割が縁故での入社となっており、他の産業より多いのが特徴です。反対に低いのが広告経由で、どの経路を増やすかで採用方針が変わります。

2枚の図で、建設業における入職経路の割合と、どの採用チャネルに注力すべきかを説明している図解の1枚目。「入職経路割合(建設業)」の円グラフで、「縁故 30.1%」が最も多く、次いで「ハローワーク 16.3%」「広告 16.1%」「その他(紹介機関)10.6%」「学校 8.1%」「出向 7.8%」と示されている。
2枚の図で、建設業における入職経路の割合と、どの採用チャネルに注力すべきかを説明している図解の2枚目。2枚目は「どの入職経路に力を入れる?」という見出しの下に、「縁故」「広告」「ハローワーク」「新卒採用」「学校」「中途採用」の項目を配置し、建設業の人材確保に向けて重点的に取り組む採用チャネルを検討する内容を示している。

STEP2. 育成

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半数以上が離職する

就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者37.9%、新規大卒就職者33.8%。しかし、事業所規模別では、5人未満の事業規模では、新規高卒就職者の63.2% 、新規大卒就職者の57.5%が3年以内に離職をしています。

建設業における新規学卒就職者の離職率を事業所規模別に比較した棒グラフ。事業所規模を「5人未満」「5~29人」「30~99人」「100~499人」「500~999人」「1,000人以上」に分け、高卒(青緑)と大卒(薄緑)の離職率を示している。最も離職率が高いのは「5人未満」の事業所で、高卒63.2%、大卒57.5%となっており、事業所規模が大きくなるほど離職率が低下する傾向が見られる。最も低いのは「1,000人以上」の事業所で、高卒26.3%、大卒27.0%となっている。下部には「厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』を元に作成」と記載されている。

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企業と離職者間のギャップ

厚生労働省の調査によると、若手の技能労働者が定着しない原因について、企業側の認識と離職者の実際の理由にギャップがあります。企業が「仕事の過酷さや労働者の意識」を主な原因と捉えているのに対し、離職者は「雇用の不安定さや生活環境のミスマッチ」が原因であるとしており、両者の認識にズレが生じています。

「企業が考える定着しない理由」と「若年層が仕事を辞めた一番の理由」を比較した図解。左側では企業側の認識として、「休みがとりづらい 23.5%」「作業がきつい 42.7%」「作業に危険が伴う 19%」「遠方の作業が多い 11.6%」「労働に対して賃金が低い 24.2%」「雇用が不安定である 8.2%」「キャリアアップが描けない 6.8%」「就業意識が低い 40.8%」を挙げている。右側では若年層が仕事を辞めた一番の理由として、「休みがとりづらい 8.4%」「作業がきつい 5.1%」「作業に危険が伴う 6.7%」「遠方の作業が多い 9.0%」「労働に対して賃金が低い 7.9%」「雇用が不安定である 9.6%」「キャリアアップが描けない 6.2%」「就業意識が低い 0%」を示している。企業側が考える離職理由と、若年層が実際に離職した理由との認識の違いを比較した内容となっている。

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定着する企業の3つの取組み

若手が定着している企業と、そうでない企業とを比較したとき、定着している企業では、特に、賃金職場環境キャリアアップの3つに取組んでいる傾向にあることがわかっています。

成果を反映した賃金

  • 仕事内容に応じた賃金
  • 能力や資格を反映した賃金

働きやすい職場環境

  • 週休二日制の推進
  • 社会保険への加入
  • 福利厚生の向上
  • 月給制の導入

キャリアアップ

  • 将来のキャリアアップの道筋
  • 技能教育の推進
  • 資格取得の支援

事業継承の準備できていますか?

令和6年(2024年)の建設業就業者の平均年齢は45.3歳で、他産業と比べて高齢化が着実に進んでいます。さらに、同年の建設業の倒産件数は1,890件と、前年より219件増加しました。

人手不足や後継者難に加え、価格転嫁の難しさなど、経営環境の厳しさも影響しており、業界全体の課題となっています。

【人材高齢化による課題】を示した図解。上部に「【人材高齢化による課題】」と記載し、中央には腕組みをして立つ人物のイラストを配置。その人物の足元から3方向に矢印が伸びており、それぞれ「担い手の負担増」「事業の継承」「技術の継承」と記されている。人材の高齢化が進むことで、現場を支える人材の負担増加、事業承継、技術継承といった課題が生じることを表現している。

STEP3. 定着

人が長く働きたいと感じる要因を、大きく3つに分類しました。これらは人材や会社の成長段階によって変化するため、定期的に見直すことで、満足して働ける環境づくりにつながり、人材の定着にも寄与します。

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働く環境の満足度3つの要素でアップ

<承認>
頑張りが認められている実感があるか

  • 評価基準が明確か
  • 評価と報酬の連動に納得感があるか
  • 昇進・昇給の基準が見えるか

<環境>
長く働き続ける環境が整っているか

  • 労働時間・休日・負荷の適正さ
  • 現場の物理的環境(特に建設業は重要)
  • 家庭やライフステージとの両立

<成長>
成長している実感があるか

  • スキルが身につく実感があるか
  • キャリアの選択肢が見えるか
  • 育成の仕組み(OJTだけでなく設計された成長機会)があるか

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人間関係の満足度“対話”と“関係性”で高める

退職理由に、職場の人間関係を挙げる退職者は多いもの。社員が安心して聞ける関係、対話できる環境であるかをチェックすることで、現状が把握しやすくなります。

  • 上司や同僚に相談しやすいか
  • 意見や提案を言える空気があるか
  • フィードバックが適切に返ってくるか

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事業方針への納得度“役立っている”が定着の鍵

頑張りが認められる以外にも、自分が会社や社会の役に立っていると感じることは、社員が仕事にやりがいを見出す大切な要素のようです。

  • 会社の目指す方向に共感できているか
  • 自分の仕事がその方向とつながっているか
  • 何のための仕事か理解できているか

事業継続や退職者による人材不足→新しい人材の確保へ

「人材がいない」という問題を考えるとき、どのように募集して人材を確保するのかということに目が向きがちです。しかし、工務店様が人材を確保するとき、5年後・10年後の会社のことを考えて採用するのではないでしょうか。そう考えると、人材不足を考えるファーストステップは、会社の将来を見つめることだと言えるかもしれません。

今号では、各種データをもとに人材不足の原因を構造的に整理し、どこに課題があるのかを可視化しました。
次号では「解決編」として、今号の内容を踏まえ、営業担当が皆様からお伺いした人材に関するお悩みをもとに、具体的な対応策や事例などをご紹介する予定です。
皆様にとってお役立ていただける情報をお届けできれば幸いです。