新たな事業領域として注目 非住宅の木造化
新設住宅着工戸数は減り続け、令和7年は3年連続減少で740,667戸となりました。住宅需要が減っていくと予測されている中で、注目されているのは、事務所や店舗、福祉施設といった低層の非住宅の木造化です。カーボンニュートラルの達成を背景に、木造化が強く後押しされている中で、1~3階建ての低層非住宅の木造率は約4~18%(令和6年度時点)程度と、住宅の木造率と比べるとかなり低くなっています。
【新設住宅着工戸数の予測】
参照:㈱野村総合研究所 ニュースリリース「2040年度の新設住宅着工戸数は61万戸に減少(2025.06.12)」
【新設着工建築物の構造割合】
参照:令和6年度 森林・林業白書(令和7年6月3日公表)第1部 第3章 第2節 木材利用の動向(2)
工務店様・お施主様の非住宅木造化のメリット
非住宅の木造化は、①建築コストを抑えやすい、②工期を短縮しやすい、③重量鉄骨造・RC造に比べて減価償却期間が短い、④木の温もりでリラックス効果が生まれるなど、お施主様にメリットがあります。
また、工務店様にとっても、①住宅に加えた新たな事業領域となる、②利用者が多い非住宅を手がけることで、宣伝効果があるなどのメリットがあります。また、地域に密着しているからこそ、不具合が起きたときにすぐにアフターフォローができるというのは、工務店様ならではの強みを活かせるビジネスモデルとなります。
非住宅をサポートする工法を選ぶ
非住宅の木造化にメリットを感じる一方で、新たな領域に取組む不安を感じられる工務店様も多くいらっしゃいます。
【非住宅の木造化に対する不安】
- 木造で十分な強度を確保できるのか
- 住宅しか経験がなく、自社で対応できるのか
- コストや工期の見通しが立てづらい
- 構造設計や施工サポートを誰に相談すればよいかわからない
今回は、そんな方のサポートとなるよう、2つの工法をご紹介します。
1つは、建て方大工の技術で組むことができる、株式会社ランバーテックのLIDトラス工法、もう一つは、構造計算を対応してくれるパナソニック アーキスケルトンデザイン株式会社のテクノストラクチャー工法です。次章で詳しくご紹介します。
高い施工性と大空間を実現 LIDトラス工法
在来軸組の上に2×4材によって構成されるトラスを載せるLIDトラス工法。ブレースや梁、火打を用いて確保する必要のあった屋根水平構面を、LIDトラス屋根のみで確保することに成功しました。LIDトラスという“蓋”をすることで、建物全体の構造を担保します。
01 建て方大工で施工可能
躯体と木造トラスは㈱ランバーテックの工場で制作され、搬入までしてくれます。躯体は独自の軸組金物工法で短時間の施行が可能。また、木造トラスはクレーンで釣り上げて躯体に取り付けるため、一般の建て方大工で施工が可能です。
02 コストを合理化
■人件費
LIDトラスは1本が軽く施工の手間がかからないため、住宅を施工する建て方大工でも施工が可能。工期と人件費の合理化につながります。
■材料費
一般流通材での対応が可能で、特注の材料や内部の柱や火打ちなども不要です。
03 最大22mの大空間
LIDトラスを採用することで、建物内に柱や大きな梁が不要に。車が出入りできる倉庫や、子どもがゆったりと動き回れる幼稚園など、広々とした空間を提案することができ、木造非住宅の選択肢が広がります。
建築実例:店舗兼事務所埼玉県蕨市 11 x 18m / 高さ 3m
LIDトラスによって実現した柱のない広々とした店舗兼事務所。木の質感を活かした空間と壁一面の開口部で明るく開放的な印象です。
構造計算も強度もクリア テクノストラクチャー工法
木と鉄の複合梁「テクノビーム」による高い強度で、鉄骨造に引けをとらない強度と機能性を実現。コストや税金など木造のメリットはそのままに、木造非住宅の提案の幅を広げる工法です。
01 構造計算はパナソニックが対応
テクノストラクチャー工法ではパナソニックが許容応力度計算による構造計算を実施するため、依頼先を別途探す必要がありません。
現在、3000㎡までは一体設計に対応しており、3000㎡を超える建物に関しても構造を分割して設計することで対応が可能に。構造計算の負担軽減につなげることができます。
02 木+鉄の高い強度
独自部材の木と鉄の複合梁「テクノビーム」により高い強度を実現。従来の木造建築物の課題を克服し、鉄骨造に引けをとらない強度で、耐震性にも配慮した設計をすることが可能です。
03 設計の自由度が高い
幅広い部材のラインナップで設計自由度が高く、1棟1棟の希望条件に合わせてきめ細かく解決策を提供できます。
広い空間も対応
- 最大12mスパン
- 最大4mの天井高(2階建て建物1階天井高)
- 耐火建築物も対応
- Mフレームで多彩な開口を可能に
- 2t・4t車でも搬入が可能
建築実例:幼稚園食育施設床面積498㎡ 1階建て
広い空間を必要とする、幼稚園の食育施設。ランチルームやクッキングスタジオの柱を極力減らし、広々とした空間を実現しています。
2つの工法や非住宅の木造化など、お気軽に桝徳までご相談ください。
今月の木になる通信
地図で見る地域材
日本には数多くの地域材があり、産地や育て方によって、木目の美しさや強度などに違いがでてきます。今回は、その特徴をわかりやすく地域ごとに分けてご紹介。
次回は埼玉県産材についてご紹介する予定です。(大林 勲)