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住宅市場が縮小する今、考えたい 非住宅の木造化

発行日:2026.08.05

住宅市場が縮小する今、考えたい 非住宅の木造化

住宅需要の減少が続くなか、「今後の売上をどう確保していくか」と悩まれている工務店様も多いのではないでしょうか。そこで今回は、新たな事業の可能性として注目されている「非住宅の木造化」を特集します。

なぜ今、非住宅の木造化が注目されているのか。市場の動向や取り組むメリットに加え、住宅を中心に手がけてきた工務店様でも導入しやすい工法やサポート体制をご紹介します。

住宅づくりで培った技術や経験を活かせる新たな選択肢を考えるきっかけとして、ぜひご覧ください。

LIDトラス工法・テクノストラクチャー工法

住宅市場が縮小する今、考えたい 非住宅の木造化

新たな事業領域として注目 非住宅の木造化

新設住宅着工戸数は減り続け、令和7年は3年連続減少で740,667戸となりました。住宅需要が減っていくと予測されている中で、注目されているのは、事務所や店舗、福祉施設といった低層の非住宅の木造化です。カーボンニュートラルの達成を背景に、木造化が強く後押しされている中で、1~3階建ての低層非住宅の木造率は約4~18%(令和6年度時点)程度と、住宅の木造率と比べるとかなり低くなっています。

【新設住宅着工戸数の予測】

2024年度から2040年度までの新設住宅着工戸数の予測を、持ち家・分譲住宅・貸家の3区分で折れ線グラフにより示している。予測では、持ち家は36万戸から29万戸、分譲住宅は26万戸から18万戸、貸家は22万戸から14万戸へ減少するとしている。
参照:㈱野村総合研究所 ニュースリリース「2040年度の新設住宅着工戸数は61万戸に減少(2025.06.12)」

【新設着工建築物の構造割合】

住宅と非住宅を階数別に木造(赤)・非木造(灰色)の割合で比較している。住宅は3階で木造58%・非木造42%、2階で木造89%・非木造11%、1階で木造90%・非木造10%となっており、「低層住宅の木造率は約8割」と説明している。一方、非住宅は3階で木造4%・非木造96%、2階で木造19%・非木造81%、1階で木造18%・非木造82%となっており、「低層非住宅は鉄骨造が圧倒的多数」と示している。

参照:令和6年度 森林・林業白書(令和7年6月3日公表)第1部 第3章 第2節 木材利用の動向(2)

工務店様・お施主様の非住宅木造化のメリット

非住宅の木造化は、①建築コストを抑えやすい、②工期を短縮しやすい、③重量鉄骨造・RC造に比べて減価償却期間が短い、④木の温もりでリラックス効果が生まれるなど、お施主様にメリットがあります。

また、工務店様にとっても、①住宅に加えた新たな事業領域となる、②利用者が多い非住宅を手がけることで、宣伝効果があるなどのメリットがあります。また、地域に密着しているからこそ、不具合が起きたときにすぐにアフターフォローができるというのは、工務店様ならではの強みを活かせるビジネスモデルとなります。

非住宅をサポートする工法を選ぶ

非住宅の木造化にメリットを感じる一方で、新たな領域に取組む不安を感じられる工務店様も多くいらっしゃいます。

【非住宅の木造化に対する不安】

  • 木造で十分な強度を確保できるのか
  • 住宅しか経験がなく、自社で対応できるのか
  • コストや工期の見通しが立てづらい
  • 構造設計や施工サポートを誰に相談すればよいかわからない

今回は、そんな方のサポートとなるよう、2つの工法をご紹介します。

1つは、建て方大工の技術で組むことができる、株式会社ランバーテックのLIDトラス工法、もう一つは、構造計算を対応してくれるパナソニック アーキスケルトンデザイン株式会社のテクノストラクチャー工法です。次章で詳しくご紹介します。

高い施工性と大空間を実現 LIDトラス工法

在来軸組の上に2×4材によって構成されるトラスを載せるLIDトラス工法。ブレースや梁、火打を用いて確保する必要のあった屋根水平構面を、LIDトラス屋根のみで確保することに成功しました。LIDトラスという“蓋”をすることで、建物全体の構造を担保します。

01 建て方大工で施工可能

LIDトラス工法における屋根水平構面の仕組みを示した構造図。建物の骨組み模型上に、在来軸組の躯体と、その上に載せる2×4材のトラス、壁面の「針葉樹合板9mm」、屋根面の「針葉樹合板12mm」の位置を示している。図内には「在来工法/木造軸組工法 土台、柱、梁、桁を外周部に設置して、針葉樹の9mm合板を壁に貼ることで躯体の構造を成立させます。合板の代わりに筋交いの使用も可能で、用途によって使い分けることができます。」「2×4工法/木造枠組壁工法 ツーバイ材で構成されるトラスに12mmの針葉樹合板を野地に貼ることで水平構面を担保。」と記載され、在来軸組の上に2×4材のトラスを載せ、屋根全体で建物の構造を支えるLIDトラス工法を説明している。

躯体と木造トラスは㈱ランバーテックの工場で制作され、搬入までしてくれます。躯体は独自の軸組金物工法で短時間の施行が可能。また、木造トラスはクレーンで釣り上げて躯体に取り付けるため、一般の建て方大工で施工が可能です。

02 コストを合理化

■人件費

LIDトラスは1本が軽く施工の手間がかからないため、住宅を施工する建て方大工でも施工が可能。工期と人件費の合理化につながります。

■材料費

一般流通材での対応が可能で、特注の材料や内部の柱や火打ちなども不要です。

03 最大22mの大空間

LIDトラス工法を採用した建物内部

LIDトラスを採用することで、建物内に柱や大きな梁が不要に。車が出入りできる倉庫や、子どもがゆったりと動き回れる幼稚園など、広々とした空間を提案することができ、木造非住宅の選択肢が広がります。

建築実例:店舗兼事務所埼玉県蕨市 11 x 18m / 高さ 3m

外観。黒い外壁と屋根の建物の前に広い木製デッキが設けられている。

オフィス内観。勾配天井いっぱいに木造トラスが現しで組まれた開放的な空間に、執務スペースや観葉植物が配置されている。
出入口を正面としたオフィス内観。壁一面の大きな窓から自然光が差し込む明るい空間となっている。

LIDトラスによって実現した柱のない広々とした店舗兼事務所。木の質感を活かした空間と壁一面の開口部で明るく開放的な印象です。

構造計算も強度もクリア テクノストラクチャー工法

木と鉄の複合梁「テクノビーム」による高い強度で、鉄骨造に引けをとらない強度と機能性を実現。コストや税金など木造のメリットはそのままに、木造非住宅の提案の幅を広げる工法です。

01 構造計算はパナソニックが対応

テクノストラクチャー工法の施工中の建物内部

テクノストラクチャー工法ではパナソニックが許容応力度計算による構造計算を実施するため、依頼先を別途探す必要がありません。
現在、3000㎡までは一体設計に対応しており、3000㎡を超える建物に関しても構造を分割して設計することで対応が可能に。構造計算の負担軽減につなげることができます。

02 木+鉄の高い強度

「テクノビーム」の構造図。「オリジナル接合金具」「テクノビーム(木+軽量鉄骨H型鋼)」「集成材柱」の各部材を示し、木材と軽量鉄骨H形鋼を一体化した梁を専用金具で柱と接合する構造を説明している。

独自部材の木と鉄の複合梁「テクノビーム」により高い強度を実現。従来の木造建築物の課題を克服し、鉄骨造に引けをとらない強度で、耐震性にも配慮した設計をすることが可能です。

03 設計の自由度が高い

テクノストラクチャー工法で実現できる大空間のイメージ図。建物内部の構造を背景に、赤い矢印で「8.0m(最大12m)」の柱間スパンと、「最大天井高4m」を示している。

幅広い部材のラインナップで設計自由度が高く、1棟1棟の希望条件に合わせてきめ細かく解決策を提供できます。

広い空間も対応

  • 最大12mスパン
  • 最大4mの天井高(2階建て建物1階天井高)
  • 耐火建築物も対応
  • Mフレームで多彩な開口を可能に
  • 2t・4t車でも搬入が可能

建築実例:幼稚園食育施設床面積498㎡ 1階建て

内観。柱の少ない広々とした空間に机や椅子が配置され、可動間仕切りで空間を柔軟に活用できる。
内観。柱の少ない開放的な空間に複数の調理台がゆとりを持って配置されている。

外観。白い外壁と大きなひさしを備えたエントランス。

広い空間を必要とする、幼稚園の食育施設。ランチルームやクッキングスタジオの柱を極力減らし、広々とした空間を実現しています。

2つの工法や非住宅の木造化など、お気軽に桝徳までご相談ください。

今月の木になる通信

地図で見る地域材

日本には数多くの地域材があり、産地や育て方によって、木目の美しさや強度などに違いがでてきます。今回は、その特徴をわかりやすく地域ごとに分けてご紹介。

【各地方の主なブランド材の特徴例】を示した日本地図。地域ごとの代表的な木材として、「北海道:道南スギ、北海道カラマツ 寒冷地産、弾力性と粘りがあり構造材に多用」「東北:秋田杉 まっすぐできめ細かい年輪、見た目の美しさと扱いやすさで評価」「関東:八溝杉(やみぞすぎ) 色つやが良く、年輪がきめ細かくきれい。柱・梁・内装材など幅広く使用」「中部:木曽ヒノキ、東濃ヒノキ、信州カラマツ、天竜材 神社仏閣用などの高級材が多い」「近畿:吉野杉・吉野ヒノキ、北山杉 非常に緻密で高級ブランド材」「四国:土佐杉、土佐ヒノキ 強度や香りに優れ、構造材や造作材に多用」「九州:日田杉、飫肥杉、屋久杉 赤身部分の油分が多く、腐りにくくシロアリにも強い」と、それぞれの特徴を紹介している。

次回は埼玉県産材についてご紹介する予定です。(大林 勲)